33歳

昔思っていた自分の33歳頃はこうだ。

いい服に身を包み、いい車を乗り回し、脚光を浴び、眺望の眼差しを注がれながら、超高層のデザイナーズマンションから下界を見下ろし、オロナミンCを飲む。
自分はミュージシャンとして成功していて、ライブや番組に引っ張りだこ。雑誌のカバーも飾りつつ、印税やその他権利収入で生きている。
家とは別にスタジオを所有してて、そこで作品を作りつつ、晩年には次の世代を育てるための拠点にしようと画策しながら、50インチくらいの大型テレビで優雅に映画を観る。
楽器もたくさん、機材もたくさん、自宅も部屋がいっぱいあって、ホームスタジオもあるわゲーム&シアタールームもあるわの環境。
大塚製薬ロゴ入りのオロナミンC専用の冷蔵庫を尻目に、高級感あふれるビルトインコンロのキッチンでインスタントラーメンをつくる。

現実はこうだ。

GUの服に身を包み、地下鉄を乗り回し、シャワーを浴び、何してる人なんだろう…?と物憂げな視線を注がれながら、三階建てのアパートからマックスバリュを見下ろし、オロナミンCを飲む。
自分はミュージシャンとしては裏方になっていて、サポートや制作をちょこちょこいただいている。
iPhoneのカバーを頻繁に変えつつ、頑張ってその日暮らしで生きている。
家とは別に事務所に作業スペースがあって、そこで作品を作りつつ、ラストチャンスで企業するぞと意気込み画策しながら、32インチのレグザで優雅に映画を観る。
楽器は数台、機材はちょこちょこ、自宅にはロフトがあって、PSやらコンポもあるわの環境。
中古で6000円で買った冷蔵庫を尻目に、ボロボロのカセットコンロのあるキッチンでインスタントラーメンをつくる。

夢だった環境と現実が同じになった人って、ほとんどいないだろう。だけど僕は悪い気はしない。
何故なら、まだまだ違った形で、チャンスはそこかしこに転がっているからだ。
終わりと思えば終わり、そこまでと思えばそこまで。できないと思えばできないし、無理だと思えばそれは一生無理なのだ。

他人のサクセスストーリーにはとっても憧れるけれど、僕はきっとま途中にいるんだろう。
33年の中で、お粗末なこともたくさんしてきたし、後回しにしたこともたくさんあった。
結果色々あって、いま色々と立ち止まらなくてはいけないこともあるけれど、それだってきっと過程に過ぎないのだ。

Mr.Childrenの名曲、「Any」で、櫻井さんもこう言っている。

『今僕のいる場所が探してたのと違っても、間違いじゃない。きっと答えは一つじゃない。何度も手を加えた汚れた自画像にほら、また12色の心で好きな背景を描き足していく』

そうなんです。間違いじゃないのです。
今いる場所って、例えば望み通りじゃなくても、たくさんの出会いや偶然必然が重なり合ってたどり着いた場所なのです。

今ここにいなかったら、出会わなかった人、行かなかった場所、買わなかったものでもなんでも、誰にでも絶対あります。
それはどれ一つがかけても、いけなかったものです。
どんな未来に来てしまっても、それは幸せなんだと思います。そしてその先の未来は、まだまだ変えて行けるものだと思うし。

だから皆さん尖りましょう。
みんなと同じことをするのはとっても楽です。
でもそれは同じ人が多いから、それが正解なんだと錯覚しているだけです。
音楽もなんでもそうです。
人と違うこと、愚直に探して、なんでもかんでも飛び込んでみたらいいと思います。
自分が置かれている環境にどんなに文句をぶつけても、絶対に変わってくれません。自分が変わるっきゃないのです。難しいけどね。

仲間が企業したいということで、僕をメンバー選んでくれたのも、これはとんでもなく幸せなことです。もちろん、先がどうなっていくか、100%うまくいく保証なんてありません。もちろん、周りからも色々なお叱りを受けることもあります。
だけど、人生一度きりなので、チャレンジしてみたいなと心から思っています。

メジャーに羽ばたいて行ったたくさんの仲間達、あの時は言えなかったけど、やっぱ悔しかったんです。置いてかれた気がして。
だけ僕はいまその分得た知識と技術があります。
誰かのためにそれを、惜しげも無く使いたい。
そんな気持ちです。

僕は僕なりに、爪跡を、名前を、残していきたいなと思っています。
いろんなことを、変えていきたい。

僕の座右の銘は、「男はいつでもエンターテイナー」です。
33歳、頑張るぞ。

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